素晴らしき日本酒の世界への扉を開き、地酒専門店化への第一歩を記すはじまりの酒「武勇」


当店にとって「武勇」というお酒はとても思い入れの深いお酒です。地酒専門店を志すにあたって、一番最初にお取引をさせていただいた蔵元であり、手造りの酒らしい素朴で豊かな味わいで日本酒の奥深さを知らしめてくれた、まさに「はじまりの酒」がこのお酒でした。

江戸末期の慶応年間（1865年頃）に城下町として発展した結城で、越後（新潟）出身の初代・保坂勇吉氏が創業。武士の時代の面影を随所に残す結城の土地柄にふさわしい、勇ましい名前をということで「武勇」と命名されました。
６代目の保坂大二郎専務のもとで蔵内の大幅な改革が行われ、冷蔵設備投資や蔵人の年間雇用による三季（秋・冬・春）醸造体制の確立を実現。杜氏だけに頼らず、蔵人全員が一丸となって個性豊かで質の高い酒を丁寧に醸す「武勇」の姿勢は注目を集め、茨城県内の地酒蔵では当時まだ珍しかった蔵元直取引制度により、蔵の方針に共鳴してくれた酒販店と一体となって名声を高めてきました。
地酒の取り扱い実績が全くといってよいほど無かった当店が、御縁を頂けたのは平成14年のこと。以来、店主にとってこの酒は、飲むと初心に戻ることができる心の酒となっています。

三季醸造による時間と手間をかけた丁寧な酒造りと納得のいく発酵管理に徹した「真実のある酒」武勇。炭素濾過はせずに熟成による色沢をあえて残し、しっかりとしたコクを感じる骨太で個性豊かな酒質が特徴です。
「これは一生懸命造った酒だということが、飲んだ時にわかるような酒を目指す。」という保坂専務の言葉どおり、今や地元茨城を代表する銘酒のひとつとして愛飲されています。ぶっきらぼうでも素朴な人情が息づく茨城の風土を、この「武勇」という酒を通じてお伝えできたらと思います。